さよなら、リュウⅡ。

イオンモール札幌発寒 化粧品専門店BellTolls リュウⅡ

君は、微笑ましくもひたむきな意味で「タッチ魔」だった。
おそらく君にはその日の「タッチの定量」とでもいうべきものがあったのだろう。そこに達していないと感じればさっと店前に出て通行人に声をかけていた。
当然のことながら立ち止まってくれる人のほうが少ない。無視されることもしばしばだった。だが君はひるまなかった。淡々と打席に向かい、バットを振り続けた。
ヒットは必ず出るものだ──
たとえアプローチ好適者に恵まれず、女子中学生にタッチする羽目になったとしても、ヒットはヒットである。
それはわざと詰まらせてレフト前にボールを落とすイチローばりの技術なのだ。

この1年間、君にとっては引退への特別な日々だったにもかかわらず、タッチを封印せざるを得なかったのは無念の極みだろう。
打席に立てないことが判っていながら球場に来続けたイチローみたいに、時おり君の挙措にも寂しさがまとわりつくことがあった。
でも君が積み上げてきたタッチとそこに向かっていく飽くなき姿勢は、確かにベルトールズに刻まれている。
君のようなプレイヤーに最後のフィールドを提供できたことは、われわれにとって幸運であった。
ありがとう、リュウⅡ。

それでは、昔むかしヒマラヤに置き忘れてきたスキーとリュックを探しにいくというリュウ君の前途を祝して、乾杯!
「かんぱーい!」
「カンパーイッと!🍻」
わいわいがやがやなんだかんだ●×▲◆

やっぱり画面越しではもどかしいけど…ブータンに行って落ち着いたら便りを頂戴ね。
「んだ。きっとね」
「でも、ブータンってどこにあるの?」
「ハワイより遠い?」
「当たり前だべさ。小笠原の近くだもの」
やんややんや■×▼●

こうしてリモート送別会の夜は締まりなく更けていった。


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